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  高木綾子「イタリア」録音レポート
   
  2002年5月22〜30日(録音は26〜28日)イタリア、ピアッツォーラ・スル・ブレンタ、コンタリーニ宮
   
  高木綾子の1年ぶりの新譜は、イタリアを代表する弦楽アンサンブル、新イタリア合奏団との共演盤。2001年の春に日本で共演して意気投合したことから生まれた企画です。
世界的にも屈指の音響を誇るコンタリーニ宮で録音を行いました。
   
    待ち合わせは東京シティエアターミナル。5月22日です。成田からミラノへ飛びました。他に私、エンジニアの塩澤君。カメラマンの田村仁さんの一行4名でした。
    ミラノの空港から中央駅へ。ユーロスターのヴェネツィア行きでパドヴァに向かいます。
    もう8時を過ぎているにも拘わらず外は明るいですね。この日は、パドヴァから更にタクシーで宿泊先のホテルへ。
    さて翌朝はまずホテルの食堂で練習。この日の午後からまずジャケットの撮影です。本当は録音が終わってからやりたかったのですが、スケジュールの都合上、撮影が先になりました。
    これがコンタリーニ宮です。16世紀の半ばに、パッラーディオの設計で建てられたヴェネツィアの富豪コンタリーニ家の夏の別邸。現在はとある財団が管理し、一般に公開されています。
    中央の玄関を入ってすぐの所にあるオディトリオ。ここが録音会場になります。ここは何とヴィヴァルディ本人も指揮をして演奏を行ったという由緒ある場所です。
    この部屋は3層からなっていて、2階は吹き抜け、そして3階の床(2階の天井)にこのような穴が開いています。これが素晴らしい音響の秘密らしく、3階がギターのボディのような役割を果たすことから、「逆さギターの間」とも呼ばれています。
    まずフルートを吹いてみて音響を確認。上の穴の真下に来ると、急に音の抜けが良くなります。
    部屋の向こうには広大な庭園。さて撮影の開始です。
カメラマンは、中島みゆきや井上陽水、吉田拓郎を始め、数々のビッグアーティストを撮っている田村仁(タムジン)さん。
    これは何とも不思議な雰囲気を持った手動エレベーター。  
    上に着ているのは、高木さんが自ら作った、皮の服。
    庭です。  
    2日目。この日は日本から取材にやってきたレコード芸術の中のさんと、モストリークラシックのライター小川さんも同行。コンタリーニ宮前の庭で行われていた朝市で、普段の様子をまず撮りました。
    果物好きの高木さんは、結構買い物もしていました。  
    次は再び室内で。これはオディトリオの脇にある食堂。通常は立ち入り禁止ですが、撮影に使わせてくれました。
    フルートを吹いている時の存在感には、タムジンさんも感激していました。
    もう一度皮の服に戻り最後の撮影。大理石に写った光が印象的でした。
    ラストショットは庭園にある池の側で。
    3日目はいよいよ新イタリア合奏団とのリハーサル。
    レコード芸術誌のインタビューに答えるリーダーのフェデリコ・グリエルモ氏。
    リハーサルも終わりほっと一息。ライターの小川さんと。
    録音の初日は、コンタリーニ宮前でアンティック市が。古い蓄音器もありました。
    この日は、小編成のものを録ります。
    昼間は建物が一般公開されているので、録音は夜から。これはリハーサルを眺めているイタリア人観光客です。
    今回は通常のステレオに加えてサラウンド収録も行いました。これがまた素晴らしい!聴くと自分がコンタリーニ宮にいる気分になると思います。
機材を運んでくれたのは、前からの知り合いで、スイス人のガスタイナー氏。イタリア語も堪能なので、助かりました。
    これは2日目。この日からフルメンバーです。
今回は、コンタリーニ宮の素晴らしい音響をできる限り純粋な形で収録するため、マイクセッティングはほとんどワンポイントに近い状態です。メインの2本のマイク以外は、フルートと低弦に、わずかのピックアップマイクが使われているのみです。
    床に絨毯を敷いているのは、反射を減らして、音の粒だちを良くするためです。
試行錯誤の上、塩澤君が決定したメインマイクの高さは、ヨーロッパの名エンジニア、ピーター・ヴィルモース(イタリア合奏団の初期の録音を担当)と偶然にも同じでした。聴いた感じでは、その名録音を上回る、非常にクリアでしかも空気感のあるサウンドになっていると思います。
    上に見えるのは先程の2階の天井の穴です。   
    その穴から撮るとこんな感じです。
    プレイバック中。  
    フェデリコが、それぞれの個性が融け合って新しいものが生まれるような録音にしたいと言っていましたが、高木さんの積極的な音楽性が、新イタリア合奏団のメンバーにもいい影響を与えていたようです。
    最終日。この日はチェンバロ無しです。
    それぞれの曲へのアプローチが完成されているので、私が言うことはほとんどなく、ミスの録り直しをするだけで、スムーズに録音が進みました。
    コンタリーニ宮のスタッフの一人、マウロと。仕事熱心で、音楽への愛情もある素晴らしい人でした。
    最後はモリコーネの「ララバイ」で締めくくり。
    全て終わって、メンバーと記念撮影。
    翌日、ミラノへ向かう列車の中で。
    イタリアともお別れ。ミラノの空港です。後ろにかすかに見えるのはアルプスの山々。
   
  今回はイタリア音楽の歴史を辿れるようなプログラム。最高の音響で録音ができたと思います。7月21日の発売ですので是非ご期待ください。

アルビノーニ:アダージョ〜「協奏曲 作品9の2」より(オーボエからの編曲)
ヴィヴァルディ:フルート協奏曲「ごしきひわ」
マルチェロ:アダージョ〜「協奏曲 ハ短調」より(オーボエからの編曲)
ヴィヴァルディ:フルート協奏曲「夜」
チマローザ:アンダンテ〜「弦楽四重奏曲 第6番」
ロッシーニ:「ウィリアム・テル」の主題による幻想曲(ブリッチャルディ編)
ドニゼッティ:序奏とアレグロ
ヴェルディ:「椿姫」の主題による幻想曲(ブリッチャルディ編)
モリコーネ:ララバイ
モリコーネ:ガブリエルズ・オーボエ