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  高木綾子「EARTH〜フルート名曲の旅録音レポート
   
  2003年7月5〜7日 スイス、シオン、ティヴォール・ヴァルガ・スタジオ
   
  「イタリア」に続く、一年ぶりの録音は、スイスのシオンという山間の街にある、素晴らしいスタジオで行いました。今回のテーマは「EARTH」。大地、自然、生命の息吹きを感じさせる作品を集めました。
   
  加羽沢美濃さんのドイツ録音のあと、レンタカーでスイスに向かいました。チューリッヒの空港で高木さんたちを拾い、一路シオンへ。これは途中レマン湖畔を南下し、ヴァレ州の谷へ向かう時の風景。この山の向こうがシオンを州都とするヴァレ州です。この日はホテルにチェックインしそのまま休みました。
  さて翌日早速スタジオへ、シオンは両側を山に囲まれた谷間の街ですが、その北側の山の中腹にあるのがこのスタジオ。道を逸れ、林を抜けたところに忽然と現れます。
  これが内部。ヴァイオリニストのティヴォール・ヴァルガが、録音のために作ったというこのスタジオは、それほど広くないながらも、充分な音の広がりを感じさせる素晴らしい響きの所でした。とても丁寧に使われていて、管理する人の音楽に対する愛情が感じられました。
  早速音を出してみます。この日は一日リハーサルとマイクセッティング。
  エンジニアはお馴染みの塩澤君。今回機材を用意してくれたのは、去年のイタリア録音でもお世話になったスイスのバーゼル在住のガスタイナー氏。もう10年以上のつきあいですが、いつも痒いところに手が届くようなコーディネイトをしてくれます。
  モニタールームからはガラス越しにスタジオを見ることができます。
  昼は、近くのパスタ屋へ。味はイタリアのようなわけにはいきませんが、景色はとにかく抜群。
  ピアノの西脇千花さんと。
  スタジオの前庭で。
  今回は撮影も行うので、その場所を地図で目星をつけます。
  さて、いよいよ録音一日目。調律中ですが、このスタジオは、ピアノもとてもいい楽器が入っていました。
  プレイバックを聴く二人。
  曲によっては、ガスタイナーさんが譜めくりをしてくれました。ますますスケールを増す高木さんの音楽とそれをサポートする西脇さんのピアノ、どちらも本当に素晴らしく、ほとんどがファーストテイクで圧倒的な完成度で、演奏会を聴いているような感動がありました。
  休憩時間にスタジオの屋上に上がってみました。こんな景色の所でやる録音は、精神的にも最高のコンディション。EARTHというコンセプトにもぴったりの雰囲気でした。
  一日目が終わって食事。もう8時を過ぎていますが、まだ明るいですね。会心の出来にみんな満足げです。一番右はカメラマンの田村仁さん。
  二日目も相変わらず素晴らしい集中力で、密度の濃い録音です。
  今年のヨーロッパは暑い!
  3日の予定が2日で終わってしまいました。
  録音が早く終わったおかげで、撮影にはたっぷり時間をかけることが出来ました。この日は、クラン・モンタナというシオンの近くの高地に行きました。
  3000m近い標高までロープウェイで上がると、さすがに寒い。残雪もありました。
  高木さんの後ろあたりにマッターホルンが見えましたが、これが写ると観光写真になってしまうので、敢えてはずします。
  西脇さんは一足先にシオンを発ちました。
  翌日はアレッチ氷河というヨーロッパアルプスでも最大規模の氷河へ。ここは標高3000mを超えています。氷河の先の一番奥に見えるのがユングフラウとアイガーのピーク。ちょうど有名な観光地グリンデルヴァルトの裏側にあたります。ここで高木さんを撮った写真が、11月のコンサートの告知チラシの裏に使われています。これがいかにもEARTH!
  氷河での撮影を終えて、今度はシオンの旧市街へ。ここでは秋の雰囲気で撮影を。
  シオンの街の真ん中にはふたつの丘があり、その上には城塞があります。
  最後は、夕日を待って、シオンの丘の上でジャケット用の写真を撮りました。この日は早朝からずっと撮影で、しかも3000mもの高度を上り下りしたためさすがにぐったりでしたが、そのおかげか、夜のビールが最高のうまさでした。
  さて、最終日は、レンタカーでチューリッヒ空港へ。途中、2000mを超える峠があり、氷河が間近に迫っています。
  せっかくなので、ちょっと観光。氷河の中に作られたトンネルです。
   
  今回のアルバムは、いわゆるフルート名曲に真っ向から挑んだ作品です。フルートのチィゴイネルワイゼンとも言われる「ハンガリー田園幻想曲」は、あまり得意じゃないと言いながら、圧倒的名演でした。私もそんなに好きな曲ではなかったのですが、感動してしまいました。バルトークは高木さんの個性にぴったりでしたし。村松さんの新曲は、ややポップな雰囲気を持っていますが、スイスの山々を思わせるさわやかな作品です。
フルートを吹く方にも是非聴いていただきたいアルバムです。

収録曲は、
カザルス:鳥の歌
ドップラー:ハンガリー田園幻想曲
バルトーク:ハンガリー農民組曲
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ボルヌ:カルメン幻想曲
村松崇継:EARTH(アース)委嘱新作


発売は10月22日ですのでお楽しみに。